これは東京都の定点報告の結果とも一致するし、臨床医としての筆者の感覚とも合う。筆者は新宿駅ナカのクリニックで診察しているが、1月半ばから感染者が急増している。
「10波」といわれているが、それが今も続いていると考えられる。
今年に入ってから、新型コロナ感染がさらに軽症になっているように感じるからだ。以前は38度台の高熱が出る患者が多かったが、最近は抗原検査で陽性となった人の半分程度が37度台だ。
倦怠感は訴えるが、咳や痰などの呼吸器症状、のどの痛みなどは軽い。カロナールなどの解熱薬と鎮咳薬(咳止め)などを処方し、「ご自宅で養生してください」と伝える。そうすると数日で状態は改善するが、それでも周囲に新型コロナウイルスをばらまくので、発症から5日間くらいは周囲にうつさないように注意したほうがいい。
では、JN.1に問題はないのかというと、そんなことはない。十分なデータはないが、後遺症が出る人はいるようだ。
先日も「数日前から少しだるく、においがわからなくなった」という20代の患者を診察した。体温は36.7度だったが、抗原検査では強陽性だった。
実は、この後遺症対策こそ、現在の世界の新型コロナ研究の中心的なテーマとなっている。
コロナ後遺症には疲労感や呼吸困難、記憶力・集中力低下(ブレインフォグ)、味覚・嗅覚障害、睡眠障害、うつなど多彩な症状が表れる。
今年1月には、韓国の研究チームが、コロナ感染者は円形脱毛症の発症リスクが1.8倍に上がると『アメリカ医師会誌皮膚科版』に発表した。
昨年9月、アメリカ疾病対策センター(CDC)が発表した調査によれば、2022年にアメリカの成人の6.9%が新型コロナに罹患歴があり、3.4%が後遺症を抱えていた。
コロナ後遺症の正確なメカニズムはまだ解明されていないが、新型コロナウイルスによる組織障害、血栓形成、免疫系の過剰反応、自己免疫、神経系の異常などの要因が関与するとされている。
後遺症のリスクは新型コロナ感染が重症化するほどあがり、重症化もしやすい。したがって、後遺症対策となるのは、重症化を防ぐ治療薬とワクチンが挙げられる。
治療薬については相反する研究結果が発表されている。薬の投与により重症化は予防できるが、後遺症を防げるかどうかは明らかではない。
そうなるとワクチンだが、これについては「後遺症予防に有効」というのがコンセンサスになりつつある。
昨年3月、筑波大学の研究チームが、ワクチン接種と後遺症に関するメタ解析の結果を『ワクチン』誌に発表している。
メタ解析とは、過去に発表された研究結果をまとめたもので、臨床医学では、最もエビデンスレベルが高いとされている。
この研究では、未接種者と比べ、2回接種者では後遺症の頻度が38%低かった。
3回目以降の追加接種の有効性についての情報は限られているが、有望とするものが多い。
昨年11月、スウェーデンの研究チームが『イギリス医師会誌(BMJ)』に発表した研究によれば、コロナ後遺症はワクチン接種回数が増えるほど発症が減っていた。
予防率は1回接種で21%、2回で59%、3回で73%だ。
後遺症予防の観点から、どの程度の接種回数が必要かは明らかではない。ただ、日本の高齢者は、最大7回コロナワクチンを接種しており、後遺症予防という意味では十分だろう。
問題は、少なくとも3回の接種を済ませていない人たちだ。3月末までは公費で打つことができる。JN.1対策も含め、早めに接種することをお勧めしたい。
JN.1は基本的に軽症だが、感染力は強い。本来、今の時期であれば新型コロナの流行は収束に向かっているはずだが、この流行はもう少し続きそうだ。
換気、手洗いなど感染予防に努めるとともに、最低3回のワクチン接種を済ませていない方は、後遺症対策のためにも早急に接種をお勧めしたい。
上 昌広(かみ まさひろ) 医療ガバナンス研究所理事長
全く起きないというコンセンサスはあるのですか?
あります
3回打った人もそのうち4回打たないととか言われるだろうな
今は2週間ぐらいにまで落ちてますね…
人間の身体にとってそのぐらいコロナの抗体を維持するのが大変みたいですつまり、打ってない人はかなり危ないわけですね
治療もほとんどしないらしい
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