心身に負荷をかけすぎた後は激しいだるさ(倦怠感)に襲われて、その繰り返しにより病状が悪化するおそれがある。
「運動後(労作後)倦怠感」(PEM)として知られるこの症状は、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」(ME/CFS)の特徴的な症状でもある。
このほど、新型コロナ後遺症患者にみられる倦怠感に一つの説明を与える論文が2024年1月4日付けで学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された。
新型コロナ後遺症の患者の体内で、筋肉の損傷や、筋線維の構成の変化、エネルギー代謝の乱れなど、さまざまな変化が起きていることを示唆している。
研究に参加した患者は25人。平均年齢は41歳と若く、他に持病はないが、新型コロナ後遺症のPEMがあり、仕事や社会生活に支障をきたしている人々だ。
PEMを誘発するため、患者たちは心肺運動負荷試験を受け、疲れ切るまで運動した。研究チームは、試験の1週間前と翌日に患者の血液と筋肉を採取し、その結果を、年齢と性別の構成が同じで、軽度の新型コロナにかかったが完全に回復した21人の健康な参加者(対照群)と比較した。
「基本的に、慢性疾患の患者が運動するのは良いことです。運動は薬になるのです」とオランダ、アムステルダム自由大学の運動生理学者で、この論文の著者の一人であるロブ・ブスト氏は言う。「けれども運動後倦怠感のある新型コロナ後遺症患者は、運動により症状が悪化していました」
新型コロナ後遺症の症状が、運動によって軽くなるどころか悪化してしまうのはなぜだろう?
ブスト氏らは、健康な人とPEMのある新型コロナ後遺症患者では、エネルギーをつくる能力に差があることを発見した。
一つは、患者における「酸化的リン酸化」の能力の低下だ。酸化的リン酸化とは、体がエネルギーとして使用するATP(アデノシン三リン酸)という分子をつくるプロセスのことをいう。
もう一つは、患者が運動をすると、細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きが急激に低下してしまうことだ。
ME/CFS患者を対象とした別の研究からも、同様の結果が得られている。この研究では、ME/CFS患者に24時間間隔で2回、疲れ切るまで心肺運動負荷試験を受けさせた。
その結果、患者はエネルギーをつくる能力が低下していて、2日目は1日目よりもはるかに早い時点で、はるかに少ない運動量で疲れ切った。
これに対して健康な参加者では、疲れ切るまでの運動量は両日ともほぼ同じだった。
新型コロナ後遺症患者でもME/CFS患者でも、運動後倦怠感のある人は、近所を散歩したり、シャワーを浴びたり、家事をしたりといった日常的な活動で、アスリートがマラソンの終盤で初めて経験するような限界に達してしまうのだ。
ブスト氏らは、新型コロナ後遺症患者の筋肉が損傷している証拠も発見した。
ブスト氏は今回の研究で、新型コロナ後遺症の患者でも運動後の筋肉の修復がうまくいっていないことを明らかにした。
患者の場合、運動負荷試験の前にも後にも、筋肉組織の損傷の痕跡や、筋肉における免疫細胞が多く見られたのだ。
「筋肉の損傷が多数あっただけでなく、過去に損傷があったことを示す兆候も多数ありました」と氏は話す。
この損傷はPEMが何度も繰り返された結果であると考えられ、損傷は回復能力の低下によってさらに悪化する。
「新型コロナ後遺症やME/CFSの患者の多くは、ゆっくりと進むクラッシュ(動けなくなるほどの疲労)を繰り返しています。これはPEMの波なのです」と、米パシフィック大学の研究者でPEMの研究をしているトッド・ダベンポート氏は言う。
患者にとっては、スーパーに買い物に行ったり歯を磨いたりといった日常的な動作が、過剰な負荷になってしまう。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/021900098/
イタリア、ASL3ジェノバ心臓リハビリテーション科でリハビリを受ける新型コロナ後遺症患者。同科では2020年から、新型コロナウイルス感染症で入院した患者のためのリハビリテーションプログラムを実施している。
引用元: ・【最新研究】新型コロナウイルス後遺症(罹患後症状)の患者の「だるさ(倦怠感)」、筋肉にまで根深いダメージ
打てば免疫力が下がることでコロナ感染しやすくもなるしな
人口を削減するため、人類を減少させる目的で作られたモノがそんなに容易いわけがない
コメント