八木沢氏が手掛けた「森崎書店の日々」は海外で翻訳され、欧米でベストセラーに。「本のアカデミー賞」とも言われる英国「ブリティッシュ・ブック・アワード」にノミネートされ、海外から「聖地巡礼」に訪れる人もいるほどの人気となっている。
投稿では、長文で作品をめぐる編集者との過去の出来事を告白した。
欧米では作家にはエージェントがつき、全てを取り仕切ってもらえる上に作者の地位も守られるといい、八木沢氏も海外版権に関しては信頼できるエージェントに任せている。
海外の賞にノミネートされたことに関連し、「僕はデビュー当時、作家どころか人間としてさえ扱ってもらえなかった」とし、編集者から屈辱的な言葉を投げかけられたとした。
「『森崎書店の日々』は刊行当時、担当編集者(もう会社にいない人)に『こんな本売れない』とか『自分を作家と思わない方がいいよ』とかさんざんボロ言ってたけど、今や世界30カ国で翻訳が進行中で欧米でベストセラーに。『あなたに見る目がなかっただけじゃん』と言ってやりたい」とし、「その人のせいで映画版に僕のクレジットは入ってないし、著作権も取り上げられそうになり印税は本来の半分しか入らずで、作者として抹殺されかけた。いい思い出というのは嘘で今も夢に見るくらいは恨んでいる」「重版した時の報告でも『なんでか売れてるらしい。でも調子に乗らない方がいいよ』と捨て台詞吐いて電話切られて。嬉しい報告のはずが悔しくて泣いた」「ダメだダメだと言われすぎて、『こんな作品書かなきゃよかった』ともうこの作品に関わらないようにしようと思ったこともある。でも、ああ、本当に書いてよかった。こんなにたくさんの人に喜んでもらえる作品になるなんて!」と心の内をさらけ出した。
また、映画化をめぐっても、編集者や制作側から理不尽な扱いを受け、その経緯を長文で吐露。「0号試写の時、プロデューサーや関係者の前で言い放った言葉。『原作は全然大したことなかったけど、映画は素晴らしかったです』力のある人には尻尾を振る典型的なタイプだった。でも、原作がなければ映画もなかったわけで。私を貶すことに一生懸命で前提を忘れてた」と振り返った。
10数年前の出来事だが、今になって公にしようと決意したことについて、「謝罪をしてほしいとか吊し上げたいとか、そんな気持ちもありません。二度と目の前に現れないでいてくれたら、それで満足です。ただ僕は、先にも書いたように気持ちを吐き出して過去の清算をして、新しい日々に邁進していきたいだけです」と再スタートを切るためだとした。
また「『どうして今頃?』とお思いになる方もいると思います。理由を説明すると、もうその編集者が出版社を去っていること、僕とは完全に縁が切れていること、出版社さんには当時のあまりにひどい契約内容などをしっかり改善してもらったこと(僕は『森崎~』に関しては著作者扱いされず印税ももらっていなかった)、そして何より『森崎書店の日々』を愛してくれている人が大勢いることを信じられるようになったからです」と説明。「出版社さんには当時の扱いについて真摯に謝罪していただき、当時結ばれた不利な契約内容も全て正してもらっています。僕と一緒にお仕事をしてくださる今の出版社の方たちは、みなさん優しい人ばかりで大好きです。ですので、その人たちにご迷惑が及ぶのは避けたいです」とし、現在仕事をしている出版社とは良好な関係だとした。
新作がなかなか出せなかったことについて「ずっと書けなかったんです。書こうと思うと当時のトラウマが溢れ出して、震えと動悸が出てしまって。そうした過去と決別するためにも、一度自分の気持ちを整理して書き出しておくことはいいかなと思った次第です」と、当時のトラウマが払拭できなかったという。
一方で「あ、ちなみに今は創作をとても楽しんでできています。デビューしてから初めてってくらいに、毎日書くことの喜びを噛み締めています。なので、その辺についての心配はご無用です」とした上で、「私が望むのは、作家あるいは創作者の地位がもう少し上がって欲しいということです。今年の初めに起きたような悲劇は二度と起きてほしくないのです」と記した。
引用元: ・【文芸】「本のアカデミー賞」候補の小説家 編集者から受けた過去の屈辱的扱い告白 「作者として抹殺されかけた」 [シャチ★]
でも、それを超克できたことは良かったと思う
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