【小池百合子】 李登輝元総統の墓前で日台交流の深化を思う 冷徹な国際社会の中で、互いに連携する絆を大切にしたい

月７日から８日にかけて、台湾を訪問し、李登輝元総統のお墓参りをした。家族ぐるみのお付き合いをしてくれた李氏は、名曲「千の風になって」が大好きで、生前、よく口ずさんでおられた。
「体が朽ちても私の思い、存在は、あなたたちと共にある」。そんな思いを込めていたのだろう。

台北郊外での墓参に付き添ってくれた次女、安?（あんじ）氏は、李氏がいつも私のことを気にかけていたと教えてくれた。
墓の前では決して泣くまいと決めていたが、どうにもこらえられなかった。

台湾では多くの要人とお会いし、あらためて親交を深めた。
蔡英文総統や、次期総統の頼清徳氏と再会し、有意義な意見交換ができた。お二人はまさに、「李氏の愛（まな）弟子」である。

台北市の?万安市長とは初めて会い、少子化対策など共通する都市の課題を話し合った。
都市間交流は、都民、市民の毎日の生活を守るための方策を共有する意味でも重要である。

特に地震対策は喫緊の課題だ。１９９９年の台湾大震災で日本は全力の支援を行なった。
台湾も、１月の能登半島地震をはじめ、日本が震災に見舞われるたび、心のこもったサポートをしてくれる。
まさに「雪中送炭」の間柄である。冷徹な国際社会の中で、互いに連携する絆を大切にしたい。

今回の出張では、オーストラリアにも訪問した。州議会でスピーチする機会を得て、「法の支配」「報道の自由」「民主主義」と、
共通の価値観の大切さを強調した。水素を活用する施設を空からも見学。このように「都市外交」の足跡を各地に残すよう
努めている。

さて、都による子供たちへの給付「０１８サポート」、高校授業料の実質無償化や給食費の負担軽減策などを盛り込んだ
令和６（２０２４）年度予算案を審議いただく第一回都議会定例会が始まった。

結婚や出産、子育てを一連の流れとして、総合的な観点での取り組みに財源を振り向け、過去最大規模の予算案とした。
結婚や子育てはあくまで個人の選択であるが、人口減少という大きな課題に臨むには、社会全体が納得し一致結束する
「大義」と「共感」が必要だ。

世界では「人口」イコール「国力」という共通認識がある。
国家の営みを維持し、伝統、文化を紡ぐには、それを引き継ぐ「人」の連なりが欠かせない。
こうしたなか、日本の昨年の「出生数」は７２・６万人で過去最低となりそうだ。
少子化が危機的といわれ久しいが、世の中のギアチェンジには意識や制度の大改革が不可欠である。

国会議員当時から、女性政策、人口政策に情熱を注いできた。自らを含め、多くの女性の思い、悩みや、苦しみ、
そして希望をふまえ、矢継ぎ早に都の政策を進めている。

少子化対策では、現実を直視し、草の根の声をすくいあげ、施策として具体化する。
それも、真剣かつ矢継ぎ早にだ。今の日本にはその「本気度」と「情熱」が求められている。
立ち止まっている時間はないのだ。　（東京都知事　小池百合子）

2024.2/24 15:00
https://www.zakzak.co.jp/article/20240224-HQXVSX5KPZJ7JADCHUGXSY477M/