繰り返すこと数回、ページ上にニュース速報が流れた。「最高裁が原告の請求を棄却 選択的夫婦別姓訴訟」。何度か読み返し、落胆が押し寄せた。北海道の帯広市で育った。中学生の時、実家のリビングのテレビでなんとなくテレビを眺めていた。学者らが選択的夫婦別姓について討論をしていた。当時、1990年代は夫婦の姓のあり方の議論が初めて本格化した時期だった。画面の向こうで、女性の専門家が夫婦別姓の必要性を訴える。思わずうなずいていた。「なんで女性ばかり姓を変える必要があるのだろう」。心の底に根付いたわずかな「違和感」。しかし、誰かに共有することはなかった。
転機は高校で受けた家庭科の授業。当時はまだ女子生徒のみ家庭科が必修だった。家庭科の女性教師が自身の経験を語ってくれた。結婚した時、姓を変えたくなかったこと。しかし、周囲の圧で改姓を余儀なくされたこと。そして、今もそれを後悔しているということ…。
進路に迷っていた高校3年生の時、たまたま立命館大学のパンフレットを読み、事実婚の法的保護などジェンダーを専門にするゼミの存在を知った。この問題をもっと勉強したい。将来の進路が決まった瞬間だった。
大学では、家族法とジェンダーを学んだ。日本国内の問題を知るにつれ、視線は海外でのジェンダー問題にも。大学卒業後、イギリスの大学院で「ジェンダーと開発」の修士号を取り、フランスにも2年間語学留学をした。JICAの青年海外協力隊に志願し、南米ボリビアで2年間働いたのち、JICAやNGO、国際機関のジェンダーの専門家として、南米やアフリカで、念願だったジェンダーに関わる仕事に就いた。
そんな仕事に追われる日々の2011年3月、一時帰国中に住んだ都内のシェアハウスで夫と出会った。トントン拍子で関係を深め、約1年後に交際。13年2月、2人でシェアハウスを退去し、同居を始めることになった。当初は、結婚は考えていなかったが、一緒に過ごすうちに、「この人なら」と思えた。
直後の11月に、レストランで結婚式を開くことに決まった。結婚を意識した時になって初めて、夫に「私は姓は変えたくないよ」と告げた。夫は「だったら、自分が変えようか」とも提案してくれた。でも、自分がしたくないことを夫に強要させることに違和感があった。話し合った末、事実婚で夫婦別姓のまま生きていくことを決めた。家族や友人も背中を押してくれた。
そんな最中、選択的夫婦別姓を求める初めての集団訴訟が行われていた。自分たち夫婦に直接的に関わるため、裁判の行く末は常に気になっていた。「もしかしたら現状が変わるかも」。そんな期待があった。
しかし、15年12月、最高裁で出された結論は「棄却」だった。自分までもが否定された気がして、精神的なショックも受けた。半年あまり、耳鳴りやめまいが止まらなかった。
そして、第3次訴訟となる今回、夫婦で原告として参加することに決めた。「今回で最後にしたい」と意気込みつつ、こう語る。「『姓』は自分そのものを表現する大切なもの。そんな姓を夫婦片方しか選べず苦しむ人が大勢いる。夫婦別姓を選ぶのも同姓を選ぶのも、誰かを否定するものじゃないと知ってほしい」
筆者も夫婦の姓について、我が事として考えたことがある。2022年に結婚した際、妻の姓を選んだからだ。
元々は旧姓の「田中」を名乗っていた。幼い頃から「結婚後に姓を変えるのは女性」だと疑わずに生きてきた。自分が改姓しようと思ったのは、婚姻届を目の前にした時だった。「夫の氏」「妻の氏」と、どちらかにチェックを入れる箇所を見て、ふと「私が姓を変えてもいいのでは」と思った。
友人や同僚と話す時、記者は下の名前の「紳顕」に由来するあだ名で呼ばれることが多かった。しかし、妻は苗字の「松岡」から来るあだ名で呼ばれることが、ほとんどのようだった。だから、これまでの姓を失った時に、より喪失感が大きいのは妻の方ではと思った。
妻も当初は戸惑いを見せたが、生まれ持った姓でこれからも生活できることに、ほっとしたような表情を浮かべた。双方の親も理解を示してくれた。
違和感は、姓が二つある事に起因するものだった。当時の職場では、結婚後も「田中」を名乗っていた。しかし、区役所や病院では「松岡」と呼ばれる。職場とプライベートで、別人格の自分が2人いるように思わされ、どこか心がざわつくこともあった。(抜粋)
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/ad6c3f87e1f30b83b557c859979f1d6242df6957&preview=auto
引用元: ・【社会】「私は名字変えたくないよ」 夫婦別姓、集団訴訟へ
稲葉うあーさんが結婚したら鈴木うあーさんとか、平凡な名前になってしまう
夫婦別姓したい人って
それは駄目と言って自分が変えた挙句違和感感じてるのが判らんな
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