では、なぜ「常陸」の表記なのか。茨城の歴史に詳しいかすみがうら市歴史博物館の千葉隆司館長は「理由はわかっていないんですよね」と明かし、「当たり前のことは資料が残りにくく、地名の字も資料が少なくて研究が難しい」という。
一方、県史は風土記を否定し、「道奥」(陸奥)にじかに接する国として「常道」(常陸)になったと説く。編さんに関わった「茨城地方史研究会」の久信田喜一会長は「風土記が引用されることが多い中、県史は新説を唱えた形で、風土記では満足できない人が諸説を出している状況ですね」とほほえむ。
謎に包まれた「常陸」だが、県は「常陸国ブランド」として、常陸牛や豚肉「常陸の輝き」のほか、最近では「常陸国ロングトレイル」や「常陸国天然まがも」「常陸乃国いせ海老」も誕生させた。大井川和彦知事は昨年9月の会見で「(命名は)インバウンド向けに評価を得ている。ローマ字で親しみやすく、日本人が思っている以上に受けが良い。継続したい」と話した。
では漢字の「常陸」への親しみは――。ネットでは常陸と合わせて「読み方」が頻繁に検索され、県が全国の20~60代に調査した結果、20代の約6割、30代の約4割、40~50代も3割超が読めず、「つねりく」「ときわ」などと読んだ。県販売流通課の担当者は「茨城にいると自然に読めるようになる。『読めないのでは』という声も聞いていたが、そんなわけないと思っていた。自分の常識を疑い、調査して驚いた」という。
「常陸国ブランド」は県の目玉政策で2024年度当初予算だけで常陸牛の新ブランドに1億6200万円、23年度には常陸の輝きには8億600万円を計上。同課は「正しく読めないと記憶に残らない。おいしさとセットで覚えて」と呼び掛ける。8日には都内で常陸牛のイベントを開き、読み方を周知した。【木許はるみ】
毎日新聞 2024/2/26 06:30(最終更新 2/26 06:30)
引用元: ・若者の半数が読めない? 「常陸」ブランド化の盲点 [蚤の市★]
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