結果、最も人気な陰謀論と不人気な陰謀論の支持率には10倍近い差があることが示されています。
また研究では特定の陰謀論の信者が時間経過によってどのように変動したかも調べられており、非常に興味深い成果が得られました。
なぜ人は陰謀論に惹かれてしまうのでしょうか?今回は陰謀論の人気ランキングを報告すると共に、次ページ以降では陰謀論の本質に迫りたいと思います。
研究内容の詳細は2024年2月15日に『Scientific Reports』にて公開されました。
あなたが初めて「月の裏側には異星人の基地がある」とか「ピラミッドは宇宙人の仕業だ」という話を耳にしたときのことを覚えていますか?
子供の頃から、私たちは様々な陰謀論に触れてきました。中には想像力を刺激したり、オカルティックな魅力を感じたものもあるでしょう。
しかし残念なことに陰謀論には社会に混乱をもたらし、中には人々の命を直接危険にさらすものも存在します。
特に医療に関する陰謀論は、正当な治療を阻害することで人の命を危険に晒します。そこで今回、マッセー大学の研究者たちは、よく知られている陰謀論が、現在の社会でどれほどの支持率(信者)を集めているかを調べることにしました。
研究自体は非常に真面目なものですが、完成した「陰謀論の人気ランキング」は多くの人の興味をそそるものになりました。
その結果は以下のようになっています。
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最も人気だったのは「製薬会社は利権を維持するためにがん治療薬の開発を遅らせている」とするものでした。
この陰謀の基礎には、がん治療薬の販売収益が製薬会社に多大な利益をもたらしているとする考えがあります。
がんを一発で治せるような治療法や治療薬が開発されてしまえば、従来の抗がん剤などが売れなくなるのは確かです。そのため約18%の人々は、製薬会社は意図的にがん治療薬の開発を遅らせるに違いないと考えているようです。
他にも第2位(14.1%)には「9.11がテロではなく政府が演出したものだったとする説」や第3位(13.7%)「新たな世界秩序の構築を目指す秘密組織が世界で暗躍しているとする説も人気がありました。
裏から支配する組織にかんする陰謀論はさまざまな時代さまざまな国々で、ささやかれ続けており、現代においても高い人気を誇っているのがわかります。
ワクチンや5Gなどの話は、新しい科学技術に対する偏見もあるでしょう。
明治時代では電線を通そうとしたとき、(ガスのように)電線から電気が漏れて爆発する危険性が訴えられたとする逸話が伝えられています。
どうやら当時の人々は、電気もガスのように「漏れて火が付くと爆発するもの」と考えていたようです。新しい科学技術に対する不理解は、いつの時代も陰謀論の燃料になるようです。
一方で、10種類の中で最も不人気な陰謀論は「新型コロナウイルスのワクチンには人々を監視したり管理するためのマイクロチップが含まれている(1.6%)」とするものでした。
これはワクチン系と情報系がミックスされた画期的な陰謀論と言えますが、要素を盛れば人気が出るわけではないようです。
7位にはワクチンが有害だとする陰謀論(5.8%)がありますが、マイクロチップ入りとする陰謀論とはある種の矛盾となります。監視や管理と毒を盛って殺したりすることは、目的が全く別だからです。
ただ興味深いことに、以前に行われた研究でも、陰謀論を信じている人々にとって重要なのは大枠の真偽であり、細かな部分が違っていても互いに論争を起こすことは少ないことが示されています。
たとえ細かな部分の主張が相反するものだったとしても「奴らはいろんな手段でやっている」とまとめられてしまうのです。
引用元: ・【マッセー大学研究】最も人気な陰謀論と不人気な陰謀論の支持率には10倍近い差がある、最も不人気な陰謀論は「新型コロナウイルスのワクチンには人々を監視したり管理するためのマイクロチップが含まれている」
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