熊による人的被害が過去最悪を記録している2023年度、今年も十分に警戒する必要がありそうだ。
熊の行動に影響大なのが、生息域を広げるあの愛らしき動物の存在。
猛獣との遭遇が常態化しつつある日本の現状を、ジビエにも通じるプロの現役猟師が解説する。
※略■年間400頭を捕獲したこともある“スゴ腕”
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望月さんはこの町の猟師の家に4代目として生まれた。幼い頃から父親と一緒に山に入って狩猟を目と体で覚え、21歳で狩猟免許を取得し、猟師歴は35年に及ぶ。
かつて駆除と狩猟とで年間400頭を捕獲したことがあり、その腕を見込んだ環境省からの依頼を受け、他県でも害獣駆除に取り組んできた。
秋になると北海道に遠征しての熊猟も行っている。
つまりは山を知り、鹿や猪、熊など捕獲対象となる動物のクセや動きにも通じた“スゴ腕”ハンターだ。
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■16年と23年で何が違う?
ここで興味深いことが明らかになる。
環境省が発表する「クマ類による人身被害について[速報値]」というデータによれば、2016年度の被害人数は青森0、岩手19、宮城6、秋田19、山形2、全国で計105人。
死亡者は全国で秋田の4人のみだった。
これが2023年度は12月末時点で青森11、岩手49、宮城3、秋田70、山形5、全国で計217人の被害。死亡者数は岩手が2で東北の残り4県は0。全国で計6人となっている。
16年と23年を比べると、ともに東北でブナの実は大凶作、豊凶指数も近い数字だったのに、後者では人の被害が3倍、全国でもほぼ倍に増えているのである。
16年と23年で何が違うのか?
いったい何が熊を山から人の住む場所へと向かわせているのか?
■「鹿が生息域を広げていることが問題」
望月さんは「鹿がどんどん生息域を広げている。それが問題だよ」と自身の体験を交えて語った。
「たとえば、俺が小さい頃は、早川町には鹿はいなかったよ。当時、この辺の猪は脂がこんなにあった」
そう言って親指と人差し指を広げた。その間隔は6、7センチくらいだ。
「本当にうまくてさ。で、小学校6年生の時、1979年だね、親父が初めて鹿を捕ってきた。俺が猟を始めた1988年ごろはまだ鹿を見ることはほとんどなかったけど、
1990年代後半には普通にこの辺でも鹿が捕れるようになった。そこから鹿が急激に増えたよ。
そしたらさ、猪の脂が昔の半分以下になったんだ。鹿は食欲旺盛だから、そこら中の草や芽や木の実を、猪のぶんまで食い尽くしてしまう」
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■農作物被害が最も多いのは鹿
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農林水産省が発表している「全国の野生鳥獣による農作物被害状況」というデータを見ると、
2022年度の被害額約156億円のうち、鹿による被害が65億円と最も多く、次に被害額が多い猪の36億円に倍近い大差をつけている。ちなみに熊は4億円ほどだ。
鹿は食欲のみならず、繁殖力も強い。
「熊って雑食でさ、木の実だけでなく草や葉っぱも食べるんだけど、そういうのまで鹿が食べ尽くすんだよ。
鹿は繁殖力もあって、早ければ2歳のメスでも妊娠してどんどん子が増える。だからそれまで労せずエサにありつけていた他の動物がよそへ追いやられてしまうんだ」
■木をダメにする鹿の問題行動
望月さんは「それにさ」と言葉を継ぎ、東北で熊を山から追いやった“ブナ大凶作”の原因とも考えられる鹿の問題行動を指摘するのだった。
「落ち葉や、木の根元に生えた草や芽も全部食っちまうんだ。これが木に悪い。
本来なら落ち葉や草が水分を含んで根や土壌を守っていたのに、こいつが無くなることで土が流れやすくなり、根っこがどんどん露出し、乾燥して、木が弱っていく。
土と一緒に土壌の栄養分も流れていくから山がダメになる」
森を守っている「下層植生」を鹿が食い尽くし、森が衰退する問題は、じつは全国で起こっており、林野庁も対策に取り組んでいる。
2023年10月には、九州大学と岡山大学の共同研究グループが
「椎葉(筆者注・宮崎県椎葉村)の奥山では、シカ増加に伴う土壌侵食により、ブナが衰退している」と、鹿こそがブナを弱らせている“犯人”だとする研究結果を発表した。
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引用元: ・【クマ】熊大量出没の元凶は鹿だった! 「熊を駆除するだけじゃ意味がない」スゴ腕ハンターが解説 “ブナ大凶作”の原因とも [ごまカンパチ★]
大量に駆除しろっつーの
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