いまの法律では、子どもを性的な対象として描いていても、漫画やアニメなどの「二次元」の創作物であれば、処罰には当たりません。むしろ市場には氾濫しています。こうした状態こそが、欧米諸国から奇異の目で見られているゆえんでもあります。
この現状を前に、性加害者の治療・更生に携わってきた専門家として明言しておきたいのが、空想や衝動が長期間にわたって繰り返されると、それが習慣化し、行動化へのリスクが高まるという事実があるということです。
子どもへの性加害を繰り返した末、当院で治療を受けている人のほぼ9割以上は、児童ポルノを持っていた、もしくはそれを使った自慰行為を反復的に行っていたというデータもあります。ある小児性愛障害の当事者は、プログラム内で次のように語っていました。
「私は子どもを対象とした加害行為を長年繰り返してきましたが、加害行為を成功させるには情報が必要で、同じ嗜好の人たちとのコミュニティや、すでに成功している人のコミュニティにいくつも参加して『加害情報』を集めていました。リアルの世界では話せないことでも、そういった『同業者』の輪に入って堂々と加害願望や性的ファンタジーを話している時間は幸せで、共感されたり、自分が創作した児童ポルノを褒められたりしているうちに、犯罪であることなどすっかり忘れていました」。
ここで、とある小学校教諭Aの例で解説しましょう。実はAは事件を起こす前から、かなりの児童ポルノ愛好者でした。
Aが子どもへの性的嗜好を認識したのは、独身時代のことでした。当時はインターネット黎明期。たまたまアクセスしたサイトで児童ポルノを目にしたAは、かなり強い衝撃を受け、そのとき初めて自分の潜在的な性嗜好を自覚したそうです。「パンドラの箱が開いた」と彼は表現していました。
児童ポルノといえば、児童買春・児童ポルノ禁止法を思い浮かべる人もいるでしょう。この法律が施行されたのは1999年。18歳未満の子どもの裸やそれに準じる姿の撮影を「児童ポルノ製造」として禁じ、送付・提供や公開することも禁じられました。
さらに2014年6月の改正では「単純所持の禁止」が新たに追加されました。自分の性的好奇心から児童ポルノの写真やビデオを所持している場合や、スマホやクラウドなどに保存している場合も処罰の対象となったのです。
しかし、のちに女児に性加害するAが児童ポルノを目にしたのは、この法律ができる以前のことです。当時のインターネットでは児童ポルノは「見放題」、いわば無法地帯だったわけです。
Aは子どもや児童の性的描写を見て自慰をし続けていましたが、頭では「このままではまずい」と考え、葛藤も抱えていたといいます。その後、妻となる女性と知り合い、結婚生活を続け、子宝にも恵まれたものの、子どもへの性加害に及んでしまったわけです。
Ybarra,et al.(2011)が10~15歳の男女を対象に、「暴力的な性的描写の視聴経験」と「性的な攻撃行動」との関連性を調べた研究があります。それによれば、暴力的な性的描写を見たことがある子どもは、見たことがない子どもよりも、性的な攻撃行動をとった経験が6倍も高いという結果でした。
一方、ポルノ規制が論じられる際によく引き合いに出される「カタルシス効果(ポルノによって性欲が解消されて性犯罪が減る効果)」という主張を支持する実験結果はほぼ皆無です。
また、ネット上で児童ポルノにさらされると「児童を性的対象とみなす」「児童をモノ化する」「被害者の苦しみへの想像力が麻痺する」といった影響を受けることも示されました。そしてこれは、同様の欲望や性嗜好を持つ人々が集まるネット上のコミュニティに没頭した場合に、より強く現れることがわかりました。
以上のような調査・研究より、たとえ一例でも児童ポルノが引き金となって加害行為につながり、被害者が出ているのであれば、児童ポルノの罰則や規制についてもっと真剣に議論するべきだと思います。(抜粋)
https://approach.yahoo.co.jp/r/QUyHCH?src=https://news.yahoo.co.jp/articles/50458248770c32e67ed61c8f1ffd4c08da3ee6ac&preview=auto
引用元: ・【研究】「漫画やアニメでもロリ表現はアウト!」…エロ漫画などによる発散で性犯罪が減る、などは妄想に過ぎない
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